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どうぶつ畑

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温度管理 秋冬編


1.温度管理
 やっぱりこの時期一番大切なのは温度管理。ゲージの置き場所って重要です。動物は(とりわけゲージ飼いの動物は)自分で居場所を選べません。そこで飼い主さんの心配りが必要なんです。とりあえずここではウサギ・モルモット・ハムスター・シマリスにポイントを置いて話をします。
 これらの動物の最適温度はだいたい20度前後、湿度は40~60%。季節の変わり目は気温の差が大きく、朝と昼で10度以上の気温差もざらです。人間でさえこうも気温差があると体調を崩しますよね。私たちはちょっと変だなあと思ったら服を着込んだり薬を飲んだり、とできますが動物たちはそうもいきません。まして言葉も通じません。野生ではこんな温度差当たり前だから平気よ、などとおもってはいけません。今ペットとして飼われているのはペット用に改良されたものばり。野生種ではないのです。しかもこれらの動物のふるさとのほとんどは日本から遠く離れた国。日本とは気候も違うのです。彼らを飼育する時の最大のポイントは彼らの原産がどこであるかを知ること。それを知ればおのずと気温に関する注意点ばかりでなく普段の飼育で必要なことがわかってきます。ペット用に改良されたとはいえその根底にある生活様式は実はあまり変わっていないんです。
 彼らはその気候や生活場所(穴の中など)により一日、一年を通じて気温の変化の影響をあまり受けません。ペットとして売られているウサギの原種はアナウサギ。読んで字のごとく穴を掘って暮らしているウサギです。ハムスターが穴を掘って暮らしている生き物であるということは今ではかなりしられていますが、地面に掘った穴の中は夏は涼しく冬は暖かいんです。モルモットは南米の高山地帯に暮らす動物で、岩や草の陰などで暮らしています。(現地のインディオたちはモルモットによくにたクイという動物を今でも大切な蛋白源として食肉用に飼っています)ハムスターの生まれ故郷も乾燥地帯です。
 以上のことから彼らのゲージ置き場は、気温差があまり無くある程度乾燥を保てる場所、ということになります。ですが日本は四季があり湿度も高い国です。一年中エアコンと除湿機で管理するわけにもいきません。この国で生きていく以上彼らにもある程度日本の気候に順応してもらわなければいけません。とはいえもちろん限度がありますのでその限度内でできうる限りのことをしてあげるのが飼い主としての努めです。下に有効な対策をあげました。

 ①家の中で気温差があまり無いところにゲージを置く
  玄関や居間、窓際などは朝夕の気温差がかなりあります。窓やドアからは隙間風が入るし、居間は人がいるときはエアコンなどで暖かい(涼しい)ですが人がいなくなると寒く(暑く)なり気温差が極端です。最高最低温度計で毎日の環境温度をチェックするのが良いと思います。 
 ②保温器具を使用する
  パネルヒーターやひよこ電球を使用する。今ではペットショップでもかなりの種類の保温器具が購入できるようになりました。選ぶときは必ずかじっても安全なものを選びましょう。設置するときはゲージ全面につけるのでは無く暑くなった時のための逃げ場所を設けてください。ゲージの中に入れるよりもゲージの下にしいて使用するほうが安心です。ひよこ電球も同様ですがこれはかなり熱をもつので巣材などが燃えたり動物がやけどをしないよう配慮が必要です。ひよこ電球よりもパネルヒーターのほうが安全で使いやすいと思います。爬虫類用のヒーターもいいでしょう。よく中にカイロを入れるタイプのものがありますが引きずり出してかじってしまうなどの事故が考えられお勧めできません。
 ③エアコン
  事故などの面では一番心配が無く温度も設定しておけばよいので確実。ただしお金がかかるのでそうとうなリッチマンにしかお勧めできません。注意点を挙げるならば、直接風が当たらないところに置くこととブレーカーが飛んだとき自動復帰できないこと。
 ④ゲージをダンボールなどで被う
  ダンボールは意外に保温性があるもの。よくホームレスの方たちが使っているでしょう。座ってみるとわかるんですが本当に暖かいんです、あれ。囲うときは全てを被うのではなく必ず空気の通り道を確保してあげてください。あとは発泡スチロール。柵越しだとかじってしまうのでさらにダンボールの上からや下だけにひいて底冷えを防ぐのも手です。囲いは定期的に取り替えるようし、底にフンやほこりがたまらないように注意。よくタオルや毛布を被せている飼い主さんがいますがかじってひきずりこんでしまったりタオルのループに爪を引っ掛けてしまったりするのでお勧めできません。
 ⑤ゲージを季節使用にする
  これは動物の大きさなどからいってもハムスター限定かもしれません。夏は柵タイプ、冬は水槽やプラケース。しかしこれだけではやはり不完全なのでヒーターとの両用がいいでしょう。
 ⑥巣材を増やす
  使っている巣材をいつもより多くします。私たちが冬に毛布などを使用するようなものです。ハムスター用に綿が売られていることがありますが誤飲する恐れがあります。ティッシュペーパーも同様です。巣材はそれぞれに合ったものを選びましょう。小動物用の巣材として売られているものの多くは針葉樹が主です。これらはハムスターなどの小動物には刺激が強く、中には呼吸異常や皮膚アレルギーを起こしてしまう個体もいるので広葉樹のチップを選ぶほうが無難です。購入の際には原材料を良く確かめましょう。チップはもぐって暖が取れるような厚さまで敷き詰めます。ちなみに針葉樹の一部はシダーボールなどの防虫剤として私たちの生活に使われています。ウサギには乾牧草がお勧めす。

 以上6つ、思いつくものを挙げてみました。ひとつでは完璧でないものもありますのでいくつか組み合わせてみるのがよいとおもいます。ただし保温をしたから絶対安心、というわけではなくそれがはたして自分の飼っているコにあっているのかどうか、暑すぎないか、逆に寒すぎないかなどのチェックも重要です。飼育方法にはこれ、といった正解がありません。日々、工夫と試行錯誤の上に成り立っているのです。かわいい我がコたちのために秋の夜長に頭を悩ましてみるのもいいのではないでしょうか。ちなみに我が動物園ではエアコンとパネルヒーターと赤外灯を併用し、巣材を増やしています。巣材はモルモットにはワラを、ウサギには乾牧草を使用、シマリスはエアコンにパネルヒーターと、うらやましい環境にいます。
 保温、保温といいましたが先に述べたように彼らは日本にいる以上この環境で暮らしていかなければなりません。あまり過保護になりすぎる必要もありませんが、限度を知って適切な処置をしてあげれば「長生き」という形でその結果が現れてきます。また個体差や年齢、体調の良し悪しによって最適温度も変わってきます。一匹一匹にあった温度管理が必要なわけです。そしてやはり最後はなんと言っても飼い主さんの観察力と洞察力、あとはいうまでもありませんがその動物に対する深い知識と理解と愛情です。がんばって寒い季節を動物たちと一緒に乗り切りましょう。


  補足「冬眠について」
 冬眠というものについてどのような考えをもっているでしょうか。一昔前はハムスターは冬眠しても暖かくなってからまた元気に出てくるなんて平気でいっていましたが、今ではたいていどの飼育書を見ても冬眠を勧めているものはありません。冬眠するものの代表にハムスター・リスがいます(ハムスターの場合正確には擬似冬眠ですがここでは冬眠という言葉に統一させていただきます)。彼らにとって冬眠とはかなりリスクをともなうもの。冬眠してそのまま目覚めないなんてことは野生ではざらです。そのため一年を通して20度前後を保ち冬眠させないようにするほうが無難です。しかし中にはきちんと保温をしていても冬眠に入ってしまう個体もいるので、いつもは出てきている時間なのに今日は出てこない、なんてことがあったら、必ず「起こし」てあげてくださいね。 



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